seawater65さん(以下seaさん)がめきめきと腕を上げられている。コロナ禍のステイホーム中も勉強に余念がなかったことだろう。
振り飛車党の攻め将棋。ツボにハマったときの破壊力は凄まじい。やや単調になりがちなところから、攻守のバランスの取り方を課題とされているようだ。seaさんの四間飛車。私は持久戦を目指す。
【1】温故知新
△2四歩〜△2三玉の天守閣美濃。1990代の流行りだろうか。初めて買ったパソコンの将棋ソフトによく指された思い出がある。右銀(5三銀)を6四に出て攻めに使う(斜め棒銀)、実戦のように4四銀から守りに使う(四枚美濃)、二つのパターンがあったような。これがAIの考える最強の布陣かと感じ入ったものである。
温故知新。今やプロ間ではほとんど指されなくなったが、我々アマチュアレベルなら十分に有力だろう。あれこれ懐かしみながら駒組みしていた。
(1図は△7三桂まで)
【2】ロマン派で行こう
▲9六歩では▲3七桂と玉のコビンのケアを急がねばならなかった。▲8八飛に(1)△8五歩▲6六角△4二角▲8四歩はよくある形。しかし(2)△8七歩が生じている。▲同飛△6四角(王手飛車取り)の筋には注意が必要だ。
実戦は(3)△7七角成。この手が指してみたかった。次善、三善は承知の上。勝ち負けがすべてではない。ロマン派で行こう。寄せ合いで2三玉型が活きる展開を目指したい。例えば▲3二とが王手にならないのは強みの一つだ。
(2図は△5六歩まで)
【3】軽率の極み
先手は竜を、後手は馬を作り、早くも終盤戦へ。△5六歩(2図)では△8九馬がまさった。後手は5筋の歩を切り、底歩の余地を得た。△8九馬は軽率の極み。対して(1)▲8二竜が逸機で、(2)▲8一飛なら馬取りと▲4一飛成からの二枚替えの両狙いで後手が困っていた。以下私なら△5六馬としてしまいそう。これには▲同歩か▲4一飛成か。また(3)▲4一竜と先に切る手も有力だった。
実戦の進行もなかなか。▲5四桂を手抜いて△4六桂(3図)と打ち返す。
(3図は△4六桂まで)
【4】気取り過ぎ
互いに相手の囲いをはがし合う。▲4二金を手抜き△3八銀成▲同玉に再度△4六桂。「本日2回目」の軽口も出た。▲同金には平凡に△5八歩成(△4八と以下の詰めろ)が最短の寄せだった。
実戦は同じく2回目とばかり△4九銀。いかにも気取り過ぎである。▲同玉△5八歩成が読み筋だったが▲2九玉とされ、打った銀のみならず、5七歩や7九馬にも申し訳ないことをした。
△4二銀(4図)は△2八金以下の詰めろになっている。
(4図は△4二銀まで)
【5】先手にチャンス
4図で私は手勝ちを信じていた。seaさんは▲1八玉の早逃げ。△2八金に▲同玉は△3九角以下の詰み。▲1七玉にも(1)△2七金▲同玉△3八角▲2八玉△2七金▲3九玉△2九角成以下の詰みがあった。この順を選べたら、5七歩や7九馬の顔も立ったのだが。
私はさして考えもせず「端玉には端歩」と(2)△1五歩。これが緩手で、先手にチャンスが訪れていた。すなわち▲3五桂からかなり手が続きそう。後手負けまであったかもしれない。
(5図は△3八銀不成まで)
【6】順当勝ちにあらず
△3八銀不成(5図)は詰めろ。▲2六金には△1五金以下先手玉は詰んでいる。しかし、だがしかしである。5図は▲3五桂から後手玉は相当に危ない。否、詰みまであったようだ。我が家のAIいわく▲3五桂△同歩▲3四銀△1二玉▲2二飛△同玉▲2三香以下が一例。もちろん簡単ではない。seaさん、王手はしてみるものですね。
終局後は後手の順当勝ち、寄せもまずまずと感じていたが、さにあらず。勝ってなお反省しきりの一局だった。棋譜取りや検討の大切さにも改めて気づかされた。
(投了図は△1四金まで)
コメントをお書きください