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#005_きねん


 

記念日に花さえやれず

夢もげ落ちてうろたえる

細く変わらぬ背(せい)恋し

あとの祭りを文へ詠む

 

きねんひに はなさえやれす

ゆめもけおちて うろたえる

ほそくかわらぬ せいこいし

あとのまつりを ふみへよむ

 

母の古稀祝い

 

母の古稀に、我が放蕩を悔いる歌。色紙に書をしたため、胡蝶蘭の絵を添えた。「記念日に花さえやれず」、そのままである。面目なし。

 

母は最近、私が幼稚園生の頃に描いた母の絵を古いダンボール箱から見つけ、懐かしんだばかりとおどけた。40年経っても、まるで進歩していない。「色紙の花は枯れないからね」。笑えぬ無邪気さというものだろう。(2008/12)