将棋を覚えて間もない小学5年生の頃、同姓のよしみで買った原田泰夫八段(当時)の『実戦振飛車戦法』。最終章に実戦録11局が収められていた。思えば私が初めて目にした自戦記だった。面白さに引き込まれ、以来振り飛車を好むきっかけとなった。いつしか手元から散逸していたが、後年古書店で買い戻し、原田節を懐かしんだ。本書は同書のフォーマットを一部模している。
コロナ禍に辟易しながら、棋友らと交えた全8局。掲載を了承してくれた対局者諸氏には心よりお礼申し上げます。
命を削るような勝負ではない。草野球ならぬ草将棋。愚手や凡手の数々は他山の石としてもらえればありがたい。それでも棋譜にはいささかの私らしい個性や創造性が表出しているだろうか。本書を通じて、自らの対局を振り返り、戦記を綴る楽しさを感じていただければ、まさる喜びはありません。
原田浩光
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